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十日日記


2003-10-30

Link 高価なレンズほど色ズレが大きい

サンアイメガネで新調したメガネはレンズもフレームもセイコー製だったので、加工はセイコー社内で行なうことになっていた。ところが納期の前々日になって、加工に失敗したとの連絡を受ける。レンズの再作成にもう1週間待たされることになってしまった。今月はメガネ運がとことん悪い。

これまでメガネを買うときには、フレームにはさほど気をつかわない反面レンズはなるべく高価なものを選ぶようにしていた。フレームはただの飾りだが、レンズは大事な光学製品である。だから、レンズには金を惜しまないようにしていた。

この考えの背景には、高価なレンズほど性能がよい――という思いこみがあった。たとえば非球面レンズはレンズ周縁部の歪みを低減させる。さまざまなコーティング加工はレンズの透明度を高め、傷に強くしたり紫外線をカットしたりする。もうひとつには美的性能とでもいうべき価値もあって、高価なレンズは屈折率が大きいので、薄くて軽い。メガネ店では、こちらを強調されることが多い。

ところが注意しなくてはならないのは、屈折率が大きい高価なレンズであればあるほど、レンズ周縁部の光収差が大きくなってしまう点だ。光はレンズを通るときに屈折する。しかし一様に屈折するのではなく、屈折の度合いは波長の短い光ほど大きい。したがって、レンズを斜めに通して見る(つまりレンズの中心部ではなく周縁部のほうでモノを見る)と、光が分散して見えてしまう。これを収差という。高価なレンズは薄くするために屈折率の高い素材を使うから、そのぶん収差も大きくなる。

自分のメガネレンズの収差はすぐに調べられる。横目にして文字を読んだり紙の縁を目にしたりすればよい。黒い文字、白い紙なのに輪郭が赤や青で色ズレしていたら、それが収差である。収差は凸レンズのほうが顕著に感じられるのだが、人によっては(私もそうだが)凹レンズでも体感できよう。慣れの問題とはいうけれど、小1からメガネをかけている私は未だに収差が嫌いで、ClearTypeが嫌いな理由のひとつは光収差で色ズレしているように見える点にある。

収差を示すレンズ性能の指標には「アッベ数」がある。これは収差の逆数をとったものだから、アッベ数の大きなものほど収差が少ない。レンズの製品一覧を見てみればわかるとおり、高価なレンズであればあるほどアッベ数が小さく――つまり収差が大きくなっている。(参考にしたページ:レンズの性能表すアッベ数、レンズアッベ数とは、メガネレンズの知識。)

ようやくできた新しいメガネは装着初日から快適で外でかけるには無問題だが、文字を読んだりすると収差を感じる。室内用のメガネレンズには、もう少しグレードを落としたレンズのほうがよさそうだ。

追記031102。中村尚広「プリズムの色分散によるMTFの低下についての研究」を見かけた。検定方法はちょっとまずい(多群検定にt検定を使ってはいけない)と思うが、言いたいことに異論はない。

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