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十日日記


2005-03-01

Link 「英語」本でネタ探し

『The Sceptics』の次号のネタとして英語の時制を扱う予定でいるので、むかし読んだものを含め文献を漁っている。新書の中で最もよいと私が思っているのは山崎紀美子『英文法の核心』(ちくま新書、1997年)で、この書籍については前に触れたことがある。

英文法を知ってますか このまえ渡部昇一『英文法を知ってますか』(文春新書、2003年)を批判目的で購入したのだが、意外と出来がよくて驚いている。17世紀から19世紀にかけて英文法がいかに整備されていったかが歴史的な文法書とともに淡々と紹介されているので、陳腐な意見部分は措いて伝統文法の紹介だけを読むならば得るものが大きい。(逆にこのストイックな点が「ファン」にとっては不満である様子がAmazonの評から窺え、苦笑させられる。)

渡部(2003)の主張をまとめれば「伝統文法は唯一の実用的な英文法である」ということで、私もこの意見には同意する。大事なのは「実用」という点だ。いかに精緻な文法でも、習得コストがあまりに大きければ学習者には利用できない。標準的な5文型にはたしかに欠陥もあるが、かといって述語動詞を数十パターンに分けたところで憶えきれないのは目に見えている。

週末にかけて英語の時制に関する論文をWebで探し、2本読んだ。まずは樋口万里子「不定冠詞主語単純現在総称文の意味特性(PDFファイル)」である。表題だけで嫌になる向きのために軽く補足しておくと、「総称(generic)文」とは一般的な内容を述べる文のことをいう。たとえば「鳥は飛ぶ」というのがそうだ。反対に具体的・個別的な状況を述べたもの(「鳥が飛んでいる」)はepisodicな文という。

a. A dog barks.
b. A dog is barking.
c. Dogs bark.

著者はまず上の3例を挙げ、aやcが総称文として解釈されるのに、bはけっして総称文とは解釈されないと述べている。ここでのポイントは2点あって、(1)名詞が不定冠詞単数か複数形か、(2)単純現在形か現在進行形かという2本の軸が立てられる。そして(1)不定冠詞単数で(2)現在進行形の場合には総称文にならないことが述べられている。それはなぜか。

著者の結論を言うと、bの文には総称させられるような要素が何もないから、ということになる。(1)の線でいうと、もしも複数形ならば犬を集合的に扱うことで総称文となりうる。(2)の線では、単純現在形は「imperfectiveの解釈としか結びつかないので、imperfectiveの解釈を促す」という。

そこで第2の論文、Michaelis, Laura A. "Time and Tense(PDFファイル)," The Handbook of English Linguistics. Blackwellの出番だ。このサーベイ論文は時制の話題についてわかりやすく――しかもセンスよくまとめてあって、読んでいて気分がよい。デクラーク『現代英文法総論』が労作であることは疑いないが、事実の羅列ばかりでセンスが感ぜられず、読んでいて楽しくないのだ。

Tags: 言語
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