2005-05-29
Link ばり+形容詞
西郷信綱『日本の古代語を探る――詩学への道』(集英社新書、2005年)を読む。同書は思いつきを交えた語源探索本で、いくつか参考になる点があった。たとえば「キトラ古墳」の「キトラ」の由来として挙がっている漢字について、「亀寅」は動物の重箱読みが不自然であり、「北浦」(kitaura)からの音変化のほうが自然だと思っていた。著者はここに「百済」(kutara)の変化という説を掲げている。ほかに「あづま」を「さつま」と対比させたり、『三大実録』に出てくる「富継・米継」という芸人が漫才コンビの命名(いとしこいし)につながることを指摘したり――といった塩梅だ。
ところで、私は最近「very」の意味で「ばり」という言葉を聞くことがよくある。「ばり多い」といった具合で強調語であることは明らかなので、その意味については深く考えてこなかった。ところが同書の74ページによれば、この言葉は『日本書紀』(ゆまり)、『和名抄』(ゆばり)を経て、イエズス会の『日葡辞書』には「Bari」として記載されている。その意味は「馬の小便」であった。つまりは「クソ多い」というのとほぼ同じことだったのだ。卑語には歴史がつまっていることを実感した次第である。
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