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十日日記


2006-03-31

Link 塾用英語教材の進歩

市販の学習参考書と塾用教材とを比較した場合、高校では前者が優れているのに対し、中学では後者のほうが出来がよい。おそらくは市場規模のためだろう。今年度は中学教科書の改訂に合わせて塾用教材も一斉に改訂されたので、手に入る範囲で一通り目を通してみた。英語に関して言えば、育伸社の教材が目を引く。(同社は数学がイマイチだったが……。)

たとえば英語の受動態では、伝統的には能動態の書き換えから導入する。She loves him.をHe is loved by her.とする類だ。少なくとも私はそう習ったし、教育開発の新中学問題集のような古典的な教材は現在でもそうしている。ここでは、受動態を能動態と対比させていることになる。

しかし私はこの方針には賛成できない。受動態で意味をもつのは過去分詞であって、「〜される」という意味を担う過去分詞を補語のように見立てて第2文型っぽく受動態をとらえたほうがよいと思う。あるいは形態的に見れば、受動態と対比させるべきは能動態ではなくて進行形だ。進行形と同じという感覚があれば、否定文や疑問文の作成も容易になる。

伝統的な導入でもうひとつ気に入らないのは、byの扱われかただ。受動態に関する前置詞としbyを殊更に取り上げ、be known toやbe filled with、be made ofなどを「慣用表現」などと特殊扱いするのはどうかと思う。byを特別扱いせず、「行為者を明示するときにはbyを用いる」として他の前置詞と同列に扱えばよいではないか。

その点、育伸社の教材はすごい。確認問題からYou are wanted on the phone.(電話ですよ)やTables are made at this factory.(この工場ではテーブルが作られています)などとあって、前置詞がbyにかぎらないことが即座にわかる。byは次章において他の前置詞と同様に扱うようになっているのだ。さらに、副教材のほうでは進行形と受動文とを対比させてある。こちらは予想外で驚いた。

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渡辺 慎太郎(na@10days.org)

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