トップ 最新 追記

十日日記


2006-09-01

Link 問題は格差ではなく貧困

私は声に弱い。たとえばボーグ・クイーンを演じたアリス・クリーグ。あの声でささやかれると、たぶんすぐに同化されてしまうだろう。どんな声かは、BBCのインタビューを見よ。ちょっと変わった発音なので調べてみたら、南ア出身だった。

最近読んだ本の中では、ポリー・トインビー『ハードワーク』(東洋経済新報社、2005年)が印象に残った。名前でピンときた人もいるかもしれないが、著者は歴史学者トインビーの家系で、高級紙『ガーディアン』のコラムニストだ。その著者が覆面生活をして、低賃金な職場を体験するという趣旨の本である。日本でも「ワーキング・プア」がNHKで特集されたり同書がBI@Kで取り上げられていたりしている。彼女はRP話者らしく、口調のせいで周囲に階級が見破られないかを心配していた。このあたりがイギリスらしい。

トインビーは、病院の運搬係・小学校の給食係・託児所での子守り・テレアポ・清掃員・ケーキ製造・老人ホームでの介護補助員など、低賃金労働を渡り歩いている。この中で最もキツイのが老人ホームだったそうで、我が国も似たようなものだろう。非正規雇用者の置かれている現状は、たしかに気の毒としか言いようがない。なぜ行動を起こさないのかという声もあるかもしれないが、行動を起こしているあいだに飢死するかもしれないのだから、動きたくても動けない。

「格差社会」という言葉を聞く。これはミスリーディングな言葉だ。実際には、格差がいくら広がっても問題ない。大金持ちが増えるのはいいことだ。問題にすべきは格差ではなく貧困であり、生活困窮者が増えている現実を考えなくてはならない。私は田舎の現状を知らないので、大都市近郊にかぎったことしか書けないが。

まずは支出の面から。貧乏人にとって第一に金がかかるのは住宅費だ。住宅費がなければ、家族で月20万あれば暮らしていけるのではなかろうか。日本の場合、住宅ローン減税などの政策が取られたが、これは中流以上の階層にしか効果がない。おまけに宅地に関しては譲与税や相続税が大幅に減額されているから、土地の効率的な利用も進まない。固定資産税は安すぎる。

「衣食足りて礼節を知る」という。なぜ「住」が入らないのだろうと不思議に思ってきた。私は住宅に関しては極端な考えを持っていて、たとえば80平米以下の住宅は禁止したほうがよいのではないか、などと思っている。部屋が広いとモノが置けるようになり、消費も促せよう。アホみたいに広くて格安な公営住宅をジャンジャン作ってもいいと思うがなあ。

もうひとつの大きな支出は食費だろう。貧乏人はエンゲル係数が高い。消費税も7%だとか10%だとか議論しているけれど、それならば食料品は他国にならって無税にすべきだ。自民党総裁候補者の中に、食料品の無税化を政策として掲げている者はひとりもいない。

収入の面では、トインビーは「生活賃金」にまで最低賃金を引き上げることを提案している。最低賃金を引き上げると国際競争力が低下して云々という輩には、低賃金労働のほとんどがサービス業なのに、どこと競争するのかと反論する。失業率が増大するという説に対しても実際は無関係だし、実際に増大してから考えてもいいと主張する。

同書を読みながら思ったのだが、食管制が敷かれていたころ政府買い入れ価格を販売価格よりも高くしたように、パート労働者の最低賃金に上乗せするかたちで補助が出せないものだろうか。補助は労働時間に比例するから、生活保護のような依存はない。補助によって低賃金労働者に「仕事が選べる」くらいの余裕が生まれれば、労働市場での立場関係も少しはマシになるのではないか……というのはおそらく考えが甘いだろうな。

Tags:
本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

Link 田舎ザムライ [静岡県の温暖な土地です。 土地柄は良いのですが選べる仕事がありません。 強いて言えば大手従業員並みなしごとは行員、教..]


2006-09-02

Link 軸輪その他の発見

私は地理に弱い。この夏も、まかまかさんと新宿で待ち合わせたときに露呈してしまった。値段があまり張らないレストラン街があったのだが、名前が思い出せない。人に電話してマイシティであることが判明したものの、東口を出た先がわからない。やむなく駅前の交番で道を尋ねると、即座に「ここですよ」と返ってきた。目の前に立っていたのだ。ルミネエストに名前が変わったのだと警官は気遣ってくれたが、まこと恥ずかしいことである。

悪いことばかりではない。小物を買うために立ち寄った岩下書斎堂というルミネエスト内の文房具店で、あの「軸輪」を久方ぶりに発見した。軸輪というのは鉛筆やシャープペンの軸に巻くゴムで、かたちが竹輪に似ているので勝手に命名している。ステドラーその他の一流メーカーからも出ているのだが、持ち味で「Soft-Grip」に勝るものはない。2個で100円と安価なのもありがたい。さっそく6袋買っておく。

サクラクレパスにNOCKS NS100という最底辺のシャープペンがある。最底辺ながら、ロングライフデザイン賞を受賞した名作だ。ぺんてるのサインペンに匹敵する。あに図らんや、これがSoft-Gripと抜群の相性を誇り、「人間工学」を騙る無駄に高いシャープペンを寄せつけない。

人間工学といえば、ふだん使っている卓上電気スタンドはバイオライトProという。交流を直流に変換してチラツキを低減し、さらに電圧を上げて色温度を高めた製品で、どこにもバイオの要素がない。気にかかっていたのだが、目には具合がいいので放っておいた。しかし、バイオライト考案者の他の発明品を見ると、「潜在能力を引き出す」バイオソニックとか「磁力と理力で体のコリを叩き出す」バイオハンマーとか、「バイオ」を名に冠する怪しげな製品が並んでいる。講演記録によれば、「バイオライトは一億年前、 別の世界にあったもの」だそうだ……。赤外線ヒーターのサンラメラもいい製品だが、松尾社長の発言を見ると信頼が揺らいでしまう。

WAP54G-JP V2のほうだが、168.1.245.255になるのは見かけだけで、実際には192.168.1.245でアクセスできた。チャネルが切り替えられないという問題が残っているのだが、面倒なのでよしとする。リピーターなしだと晴れた日に永遠が見える――ではなく晴れた日に窓を開けていると電波が受信できなくなるので、再度とりつけた。実効速度は5〜7Mbpsだが、安定しているのが一番だ。

Tags:

2006-09-03

Link 簡易DTPソフトウェア

『モツ煮狂い』はどこかで売り出すそうで、それに伴って修正を加える。

本文書体は「HG SゴシックM」だ。Mediumといっても太さはRegularに近く、だから11Qの本文でも使えた。和文部分は満足しているのだが、News Gothicの従属欧文に少し不満がある。News Gothicは背の高い書体で、HGゴシックがパラパラとしているのに欧文部分だけ寸詰まる。今回は欧文はないのだが、数字の高さが大きすぎるのに違和感を覚える。住所を組むときには便利なのだろうが。

まず、他の和文書体をあたる。モトヤのゴシックはウェイト3未満が存在せず、ゴシック3では11Qには太い。シーダ2を使うとなると、4・6あたりも揃えなくてはならなくなる。だいいち『モツ煮狂い』にそんな書体は似つかわしくない。ヒラギノ・小塚ゴシックも同様。わりとよいのがこぶりなゴシックだったが、これはCIDフォントだ。意外とないものだなあ。

それでは従属欧文を変えようという話になる。手持ちの中から平凡なサンセリフ書体を探した結果、Neue HelveticaクローンのNimbus Sans Novus(Regular Text)が合わせられることが判明した。もっとも、InDesign CS2+G7570の組み合わせでは合成フォントを作ると和文部分が黒にならないので、今回この手は使えない。不満は残るが、HG SゴシックMをそのまま使用することにする。

素人が慰みで小冊子を作るなら、どんなアプリケーションを使うのがよいのだろう。Microsoft Wordでは物足りないが、10万円超のInDesignには手が出ないような層(私はCreative Suiteを買ってしまったが、本来この層に入るはず)を対象とする場合だ。欧文ならOfficeアプリのPublisherが使えるだろう。「単純で効果的なモノクロのニュースレターを作成する7つの手順」なんて、よくできたチュートリアルだと思う。しかし和文にはもうひとつだ。

とりあえず、(1)レイアウトグリッドが使用できる、(2)書体の寸法がQ(1Qは0.25mm)で指定できる、あたりが機能としてほしい。(1)は何字詰めといった指定に便利だし、(2)はptよりQのほうが計算しやすいからだ。そのような条件を満たすソフトは皆無に等しい――というかワープロソフトすら種類が少なくなったが、パーソナル編集長が候補になりうる。

このソフトは一定のファンを集めているらしく、「パーソナル編集長を使うときのコツ」といった優れた解説ページもある。ソフト自体はレイアウトグリッドを持たないが、「マスターページをレイアウト用紙として使ってみる」や「『○字×△行』の大きさは『オブジェクトに吸着』を利用しようで紹介されている使いこなしで対処することができる。Qには標準対応しているので問題ない。最大の懸念は、このバージョンで終息してしまうのではないか、ということだろう。

Tags: PC

2006-09-04

Link PDFファイルのサムネイル

西田亙さんの『GNU開発ツール』が届く。本文書体はスーラMだった。書体選定には不満が残ったように書いていらっしゃったが、ウェイトを揃えた丸ゴシック体の中では最善ではなかろうか。……最近記事の冒頭が日記と化しているな。

数あるユーティリティの中でも便利に使わせていただいているのが、Context Viewerだ。このソフトウェアは、コンテキスト(右クリック)メニューに画像のサムネイルを出してくれる。画像ファイルはファイル名がデタラメなことが多いので、クリック1回で中身が検められるのは助かる。

ファイル名から中身が類推できなくて困ってしまうファイルは他にもある。その筆頭がPDFファイルで、特に他所からダウンロードしたPDFファイルは数日経つと(最悪の場合ダウンロードした瞬間から)名前がわからない。そこでCotext Viewerの機能を拡張して、PDFファイルのサムネイル画像をコンテキストメニューに出せないものだろうか。

Acrobat 7.0から、「縮小版」でPDFファイルの冒頭ページがサムネイルとして出るようになった。同様に冒頭ページのサムネイルがコンテキストメニューとして出せると便利だと思う。ひょっとして、すでにあるのだろうか。

Tags: PC

2006-09-05

Link ディスク障害

7月に導入した拙速バックアップが役に立つときがきた。ハードディスクがダメになったのだ。購入したのは3年前だが、最初の2年間はスマートドライブで密閉されていたし、去年からは常時起動していたのだから、寿命と言ってもいいだろう。

ここのところサーバーの調子が悪く、金曜にはハングして再起動を余儀なくされた。ハードウェアの問題だとはわかっていたが、私は電源まわりだと誤解していた。sshのログインは可能だったが、Load Averageは50台後半になっている。やがてnetatalk接続しているフォルダが見えなくなり、さらにはsambaのフォルダも見えなくなった。最後には、マウントができなくなってしまった。

今回は完全バックアップしていたHDDに交換することで事なきを得たのだが、いくつか反省材料がある。第一に、控えのHDDのMBRにliloを書き込んでいなかったこと。/dev/hda1は/boot専用なのだから、rsyncではなくddでコピーすればよかったのだ。第二はfstabの表記にラベルを用いてしまったこと。ディスクの交換をするのだから、ラベルは間違いのもとになる。そのほか/procを作り忘れていたというポカもある。これらがなければ復旧はもっと早く行なえたにちがいない。

KnoppixやVine LinuxのレスキューCD(起動オプション:linux rescue)には、ずいぶん助けられた。ありがたいことだ。

Tags: PC

2006-09-07

Link OP25B+差出人規制

eo光ネットのSMTPサーバーは、差出人(From行)のドメインをeonet.ne.jpに限定する規制を実施している。それでは話にならないので自前でサーバーを立てていると、今度はOP25B(Outbound Port 25 Blocking)の案内が届いた。実施予定日は9月25日だそうだ。笑ってしまうことに、代替手段としてのサブミッションポートの導入も同日を予定している。せめて代替手段を数日前から実施して、利用者が試験する猶予を与えておこうとは思わないのだろうか。現状だと、使えなくなってから切り替える恰好になる。同日はサポートセンターへの問い合わせが殺到することだろうが、それは自業自得というものだ。

サブミッションポートにはSMTP認証も付いてくるから、その準備をしなくてはならない。Vine Linux 3.2付属のPostfix 2.0.20はSASL抜きでmakeされているので、rpmの再構築から必要になる。再構築はPostfix+pwcheck/saslauthd (Cyrus-SASL) でSMTP-AUTHを使うを参照。事情に応じて適宜変更のこと。

さて、PostfixのOP25B対策は、(1)Postfixを入れたサーバーが接続されているISPがOP25BしたのでISPのSMTPサーバーに中継させる場合(SMTPクライアントにする方向)、(2)他のISPからPostfixに接続していたのだが、そのISPがOP25Bを導入した場合(サブミッションポート+SMTP認証を用意してサーバー機能を強化する方向)、の2つに大きく分けられる(OP25B対策対策)。今回の場合は(1)だ。

Postfixの設定変更は、「Postfix2でSMTP-AUTH」「Postfixのぺーじ」「Postfix」などを見ればよい。設定をしながら気がついたのだが、中継先のSMTPサーバーが接続ISPのものである必要はない。サブミッションポート+SMTP認証が用意された結果、認証さえ通れば場所は問われない可能性がある。そこでplalaで試してみたところ、拍子抜けするほど簡単に中継できる。調子に乗って、契約している他のISPでも試してみる。

DIONは一筋縄ではいかなかった。ここはplalaやeoとは違い、OP25Bに関して詳細な説明を施している。サブミッションポート専用のSMTPサーバーSMTPサーバーを自営している者のための中継用サーバーの案内セキュリティ対策のロードマップなどを見れば明らかだ。plalaの案内ページは、Google検索しないと見つけられなかった。

それにしても、OP25Bは迷惑メール対策として長期的に有効に機能するのだろうか。OP25BによってISP業者は送信権を利用者から奪うわけで、自前のSMTPサーバーを持てるかわりに追加料金――といった商売も考えられるだろう。どこか中立的な機関にでも調査してほしいところだ。

Tags: PC

2006-09-11

Link 科学の価値

阿部謹也が亡くなった。「世間」での評判は知らないが、学内では政治力に長けた人物として映った。苦学の中で培われた忍耐力がベースになっていたのだろうか。そんな話はともかく私も阿部謹也のファンだったので、初対面の挨拶をよく憶えている。「はじめてナマの先生とお会いできました」と言って返ってきた言葉――「私は干物だったのかね」。

ところでGoogleニュース日本版の項目は、社会/国際/経済/政治/スポーツ/文化・芸術/科学・技術と並んでいる。西欧版のほとんどは、国際/国内/経済/科学技術と並ぶ。中国・台湾は西欧型、香港は日本型となっている。韓国語は読めないので不明だが、日本型に近い雰囲気。ともあれ、科学技術が娯楽よりも下にくるのが我が国の現実ということだ。国内各紙の項目順を見てみると、他にも発見があるだろう。

Tags:

2006-09-12

Link 尻拭い

OP25B対策のついでに、某所で遅延しがちなSMTPサーバーを回避する方法を考える。SMTPサーバーはとあるメール送信ツールから利用しているのだが、このメール送信ツールを搭載したソフトウェアは出来が悪く、これまでにも何度か尻拭いをしてきた。おかげでSQL ServerやMSDEの勉強になったので、その点では感謝している。

SMTP中継図後のために図解しておく。水色地になっているのはPC内の話で、キモはメール送信ツールからMercury/32 SMTP Serverを中継させている点だ。この送信ツールはSMTP認証に対応しているのにポート番号が指定できないので、単独で使うとOP25Bに引っかかる。そこでMercury/32をlocalhostに配置した。その後、メール送信データは仕事場のルーターを通してサーバー機の587番(サブミッション)ポートに入り、Postfixで処理される。ただし、ネット上ではポート番号をデタラメな数字にしておき、ルーターのポート変換機能を用いて587番に変えている。無駄な攻撃が減らせるからだ。

Vine Linux 3.2上のPostfixでの設定は/etc/postfix/master.cfのサブミッションポートの部分のコメントを外すだけか――と思いきや、そうではない。目をこらすと

# ==========================================================================
# service type  private unpriv  chroot  wakeup  maxproc command + args
#               (yes)   (yes)   (yes)   (never) (100)
# ==========================================================================
smtp      inet  n       -       n       -       -       smtpd
#submission inet n       -       -       -       -       smtpd

のようにchrootが合っていない。忘れずに「n」にしておく。さもなくば/etc/sasldb2が閲覧できない。なお、Postfixを勉強するために荒木靖宏『Postfix詳解』(オーム社、2004年)を買った。これはよい本だ。

以上で終了と認識していたのだが、まだメールが送れない。Thunderbirdでは送れるのに、送信ツールではエラーが出る。ログには「553 Invalid RFC821 mailbox specification」とある。よく見ると「RCPT: xxx@example.com」のようになっていて、メールアドレスがギュメで括られていないではないか。とことん行儀の悪いソフトだ。

この手のソフトウェアはロクに入力チェック機構もないだろうから、登録メールアドレス自体にギュメを入れて「<xxx@example.com>」としておく。テストして、ようやく無事に配送できた。

Tags: PC

2006-09-14

Link 遺伝による階層形成

最近聞いた話。とある国立大学附属高校の生徒が精密検査を受けに大病院に行ったところ、担当の医療部長が部活動の後輩の父親だったそうだ。さらにセカンドオピニオンを得るために別の大学病院に出かけると、その担当医は学校の教員の同級生だったという。世界は狭い。

スティーブン・ピンカー『人間の本性を考える(上・中・下)』(日本放送出版協会、2004年)は主張が単純な割に内容はくどいし愉快な話でもないから、ところどころ飛ばしながら読んだ。その主張というのは、人間には遺伝的な特性がある、というものだ。総論では誰もが賛同する話なのに、話が各論に及んで特性の内容に触れ出すと、人びとは話を避けたがる。知能指数から性格に至るまで遺伝で決まってくるという現実は、人によっては受け入れがたいものらしい。

もっとも、上記のようなことは進化について興味を抱いている者には知れたことだ。私が気がつかされたのは、遺伝子による社会的階層の形成について記したくだりである。

ハーンスタインは次のように書いた。社会的地位は、人種や家柄や相続財産など、たまたま受け継いだものによって決まってしまう度合いが減ってくるにつれて、才能、とくに(現代の経済においては)知能によって決まる度合いが高くなるだろう。知能の差異は部分的に遺伝するし、知的な人は知的な人と結婚する傾向があるので、社会が公正になれば、それまでよりも遺伝子にもとづいて階層化されるようになるだろう。利口な人がより上層に進出し、彼らの子どもがそこにとどまる傾向がでてくるだろう(上巻p.207)。

たとえば現在の大学教員で、親もまた大学教員である場合は少なくない。私はそれを、親が知的な環境にあるから子もまた知的な環境に馴染むものだと思っていた。しかし実際には遺伝子のほうが要因としては大きいのだろう。ここでは皮肉なことに、「公正」な社会であればあるほど階層の固定化が進むという事態が予想されている。冒頭の「世界は狭い」話を聞いて、私はふとピンカーの本を思い出したのだった。

世代が進むと、アホとカシコとはもっと分離するのだろうか。去年までよく耳にしていた「学力低下」で取り上げられていたPISAの試験結果をよく見ると、日本の子供たちの順位が下がった最大の要因は、5段階評価で1と2とに当たる生徒が大幅に増えた点にある。(1が2.7%から7.4%、2が7.3%から11.6%。)授業時間数削減のしわ寄せが成績下位層に顕れたものと私は理解していたが、もっと単純にアホの子はアホということなのか。

ピンカー(2004)には「遺伝主義左派」(下巻p.45)という言葉が登場する。所得再分配の根拠に遺伝子の差異を持ち込もうとする一派だ。遺伝子的に不利な者は、落ち度なしに貧困線以下の生活を送る可能性が出る。よって機会の平等だけでは不十分である、という主旨である。

Tags:

2006-09-16

Link Practical Using Excel #0

Excelを仕事の道具として使うようになって1年強しか経っていないので偉そうなことは言えないのだが、この表計算ソフトについての過小あるいは過大な評価が気になることがある。

過小評価のほうは「どうせマイクロソフトの製品だし……」と、特にUNIXのソフトを常用する人たちから拒絶されてしまいがちなことだ。しかしExcelはOffice製品の中でも別格の出来である。Wordに関して言えば、長文を執筆するにはNisus Writerに及ばないし、文書作成という点ではクラリスワークス4に負ける。(いずれも10年以上前のソフトだ。)だが、Excelを超える表計算ソフトは見当たらない。

パソコン雑誌では過大評価が目につく。Excelを唯一万能のソフトとばかりに、ワープロやデータベースがわり、果てはグラフィックまでExcelで済ませようとする記事もある。これもどうかと思う。データベースについては異論があるかもしれないが、Excelのファイルは容易に壊れるのを忘れてはならない。サポートページにもサルベージ方法が記されているくらいだ。だから少なくともデータの保管場所として最適なファイルではない。また、重要なデータが入ったExcelファイルが持ち出される危険もある。保護用パスワードは、内部の犯行には効果がない。

Excel関係の記事で欠けているのは「保守性」についてだ。もちろんExcel自身の限界もある。複数行にわたる数式を書くことはできず、すべてがワンライナーとなる(ワンライナーイクナイ!)。また数式の中にコメントも入れられない。しかし一般のプログラミング言語で重要視されるように、仮にExcelのワークシート関数だけを使うにしても保守性は大事だ。作業セルをどこに置くか、「名前」の定義をどのように利用すれば数式の修正が楽になるか――こういった点に関する手ほどきがあるとよいと思う。

今のところ、Excelの有効な利用法は「データの加工と入出力」にあると思っている。データを縮約したり可視化したり、さらにはそれを出力したりする。この出力という部分は意外と大事で、ファイル持ち出しの危険を考えると表計算ソフトはWebで操作できたほうがいいと思っているのだが、その場合に印刷機能がうまく実装できるのかどうか危惧している。クロスプラットフォームを実現するには、いったんPDFにでもしなくてはならないかもしれない。それにフォントはどうするか。

実はExcelのワークシートを入出力専門の場所として利用した書籍は、すでに刊行されている。森口繁一『Excel/Basic基礎指南』(日本規格協会、2000年)がそれだ。そう、『計算数学夜話』や『岩波数学公式』の森口先生がExcelの本を出している! だが実はこれは歴としたプログラミングの解説書であり、Visual Basicでフォームを作って入出力させるよりもExcel/VBAを使ってセルから読み書きしたほうが手っ取り早いから積極的に利用しようという話である。

私が一部で実践しているのは、データの保管をSQL Serverに行なわせることだ。ODBC経由であればPostgreSQLでもかまわない。Excelファイルの中にデータ読み込み専用のワークシートを用意しておき、開いたときに自動的に読み込む。保管をSQL Serverに任せる一方、データの入力に関してはExcelを最大限利用する。入力規則が細かく設定できるので、ヴァリデータを用意する必要がない。加工・出力にもExcelを使う。最初は別法を考えていたのだが、私の持てる能力と時間とでは現実的な選択肢としてExcelしか残らなかった。

というわけで、「Excel」という分野を日記に用意してみた。いつかは「あーありがち」みたいにタグ化を果たしたいし、スパムがきてから停止させているツッコミ機能も再導入したいのだが、それはまだ当分先のことだろう。

Tags: Excel

2006-09-18

Link CPUに熱伝導

ハードディスクを交換したTerminator TUは快調で、何事もなかったかのように動作している。リムーバブルケースもいい。前面がスリットになっていて、そこから吸気するようになっている。Terminatorは背面の排気ファンを1機搭載しているだけなので、前面から吸気できると風量が確保できる。通風がよくなったのは予期していなかった利点だ。

前面吸気・背面排気といえば、BTXフォームファクターが徹底している。先ほど思ったのだが、BTX仕様はクライアントPC向きであって、サーバーには向いていない。筐体前面に12cmファンがあってCPUからビデオカード、メモリーへと冷却していくのだが、空気の流れの中にハードディスクはない。サーバーとして使うならビデオカードの性能は必要ないが、ハードディスクは重要だ。またファンのせいで5インチベイが不足するのも欠点だ。各社の底辺級サーバーを見るとBTXがデルだけだったので最初は不思議に思ったのだが、よく考えれば不思議でも何でもなかった。

北森瓦版によれば、BTX自体が2007年で終了するという噂もある。インテル純正のBTXは前面吸気とCPU冷却とが一体化した大型ユニットを使っていて、あれがよくなかった。TDPの低い機種では、GatewayがAthlon64モデルでやっているようにCPUはヒートシンクのみにして、前面吸気ファンからダクトによって風の流れを制御するほうが単純で安くついただろう。

さて、そのBTX仕様の機械を自宅で使用している。せっかくだからビデオカードもBTX専用のもの(GV-NX66128DP-SI)にした。この決断は失敗だった。

BTX専用なのでケースファンからの通風を利用するためファンレスになっているのだが、前面ケースファンの回転数は主にCPU温度に依存するから、ビデオカードの状態は無視される。Cool'n'Quiet導入のおかげでCPUのヒートシンクは手で触って冷たく感じられるほどで、よってファンは最低回転数でしか回らない。結果、風がほとんど入らず、ビデオカードは冷却できない。この夏、何度か電源が突然落ちたが、ビデオカードの熱暴走の疑いが強い。手で触った感触では70℃近くに達している。

対策を考える。第一に、ファン(LGA95R-15DB)を背面にも装備した。風量がアップするものと期待されたが、回転数は穏やかに制御されており、500rpm以下で回っている。ほとんど回転していないに等しい。失敗だ。ビデオカードを買い替えるのは癪なので、別の手を探す。ファン自体は音がせず快調なので、そのままにしておく。

そして思いついたのが、ビデオカードの発熱をCPUに逃がすという「愚挙」だ。要はお互いのヒートシンクを接触させるわけ。そうすれば、高発熱のビデオカードからCPUへ熱が伝わり、その結果ファンの回転数が上がるだろう。上がらなければ上がらないで、それはCPUのヒートシンクで熱が吸収できたわけだから、なおさらよい。求むるのは、針金なりパイプなり、熱を伝える何かだ。

シリコン製の「熱伝導シート」などに効果を期待すべきではない。熱伝導率は高くて10W/mKで、話にならない。熱を最もよく伝えるのはダイヤモンドだが、定番は銅(390W/mK)だろうというわけで、0.1mm厚の銅板を購入した。銅の2倍の性能をもつというグラファイトシートには心引かれたが、安価に済ませることを優先させた。

銅板のベルトで両ヒートシンクをつなげたものの、効果には自信がない。触ってみたところ、そもそもビデオカードに密着しているL字型ヒートシンクのうち、垂直部分(帆になって風を受ける部分)にどれほど熱が伝わっているのかが不明だ。とりあえず人事は尽くしたということで、あとは天命に従おう。

Tags: PC

2006-09-21

Link ユーティリティ紹介

近ごろ便利に使っているユーティリティを3本紹介する。

まずはUnplugDriveから。このソフトウェアを使うと、USBメモリーや外付HDDなどのリムーバブルメディアの取り外しがドライブの右クリックで行なえる。複数の装置を取り付けているときなど、タスクトレイのアイコンから取り外しを行なおうとしてマウス操作を誤って腹立たしく思ったことがある人にお奨めしたい。私はすっかり気に入ってしまった。なお、この機能はWindows Vistaには標準搭載されるらしい。

ところで私は2.5インチのHDDをMomobay CX-1という箱に入れてバックアップディスクとして使っている。これまで20GBのディスク(ThinkPad T21から取り出したもの)を使っていたのだが、空き容量が1GB台になったのでHDDを買い替えた。単純にGB単価が安いという理由で富士通のMHV2080AHを選んだわけだが、あまりの静かさに驚いた。GT4012jのファンの音で動作音がかき消されてしまって、HDDに通電されていないと勘違いしたほどだ。

次からはマイクロソフト謹製になるので、単に私が情報音痴だったのかもしれない。まずは言わずと知れたPowerToysで、その中のTweak UIを使いはじめた。外付HDDをPCに接続すると自動再生が開始され鬱陶しかったのだが、同ソフトを使えばドライブごとにオン・オフが指定できる。Windows 2000のころはコントロールパネルに入っていたように記憶しているのだが、いまはアプリケーションとして存在している。

さてトリはマイルーン人ではなくて、Windows Installer Clean Upというソフトだ。Windows Installerを使って導入したソフトは、ふつう「プログラムの追加と削除」からアンインストールできる。ところがレジストリが狂って、インストールしたのにアンインストールできないことがある。そのようなときに、このソフトを使うとよい。もともとはMS Office用ユーティリティなのだが、他のソフトにも使える。

Tags: PC

2006-09-23

Link Cool'n'Quietが元凶か

Windowsの操作中に画面が突然ブラックアウトして、BIOSチェックからはじまってしまう現象に何度か遭遇している。しかしこれはWindows XPの設定によるもので、ブルースクリーンを隠蔽する「機能」だそうだ。〈システムのプロパティ〉-〈詳細設定〉タブから「起動と回復」を選べば設定できる。強制再起動の正体はブルースクリーンだったのか。あまり嬉しい話ではないが、少なくとも原因は特定しやすくなった。自動再起動をオフにしていたところ、21日にブルースクリーンに遭遇した。

いままでは私は原因を熱暴走に求めていたし、その可能性も捨てきれない。しかしブルースクリーンとなると、メモリーなど別の要因も考えられる。最近あやしいと思っているのはCool'n'Quietで、しばらく機能を停止させて様子を見ている。というのは、ブルースクリーンになる瞬間は、URLをクリックしたりアプリケーションを起動したりといった、周波数が跳ね上がるときのように思えるからだ。

Cool'n'Quietは、コア電圧と周波数とをCPU負荷に応じて細かく切り替え、電力消費を抑えるものだ。しかし実を言うと、CPUのこの手の機能には若干の不安を覚える。電圧の小刻みな変動が電源やマザーボードの寿命を縮めやしないかという危惧が頭をもたげるからだ。Tualatinが好きなのには、省電力機能がないぶん安定しているだろうと憶測していることもある。最近はSempronの35Wモデルというのも出てきているけれど、あれはコア電圧を下げている。1.5Vで35W(Pentium III)と1.1Vで35W(Sempron)とでは流れる電流が違うから、後者のほうが負荷が大きいと私は思っている。素人考えだろうか。

Yahoo!オークションでTerminator P3を落札した。Pentium III 1.13GHz(Coppermine)、RAMが512MB×1、HDDが80GB、ビデオカードがついて1万円。いくつかのショップを見たりケースを探してみたりしたのだが、初代Terminatorシリーズに勝るケースは見つけられなかった。奥行き27.5cmで5インチベイとPCIスロットとを各2基搭載しているのはTerminatorしかない。私はこの機械をAsusが生んだ奇跡だと思っていて、どれくらい好きかというとQuadra 700くらい! LinkStation/玄箱をハックしようの方が棚にたくさんのLinkStationを並べていらっしゃるけれど、あんなふうにTerminatorを並べてみたい。

Tags: PC

2006-09-25

Link MySQL 4.1とphpMyAdmin 2.8.2(文字化け対策)

いまの「おけいはん」は京橋けい子という役名だが、元祖は阪急の伊丹十三だなあと思う今日このごろ。

MySQL 4.1の日本語周辺については敬して遠ざけたかったのだが、そうもいかなくなった。RHEL4(Red Hat Enterprise Linux 4)ではデフォルトでMySQL 4.1が入っているからだ。行なったことを書き連ねておく。

MySQLは「--with-charaset=ujis」を加えてコンパイルし直すことにした。そのためにSRPMファイルがあると便利なのだが、RHELのそれを見つけられなかったので、クローンであるCentOS 4から取得した。SRPMファイルは/usr/src/redhatに展開される。RHELではperlが/usr/local/binと/usr/binとの両方にあって、前者が生きていると組み込み時に依存性の問題を引き起こす。環境変数を変えてもいいのだが、/usr/lcoal/bin/perlの名前を一時的に変更してもよい。RPM生成には時間がかかる。1時間ほど見ておくべきだ。

my.cnfにおいて、日本語まわりで追加したのは以下の項目である。

[mysqld]
default-character-set=ujis
init-connect=SET NAMES ujis
skip-character-set-client-handshake

[mysql.server]
default-character-set=ujis

[mysqld_safe]
default-character-set=ujis

[mysql]
default-character-set=ujis

[mysqldump]
default-character-set=ujis

こうしておけば、MySQLの文字セット環境の変数は、ほとんどujisになる。(最後のsystemは変えようがない。)eucjp-winではないが、丸付き数字などEUC-JP外の文字もデータとしては格納されるから問題ない。ただし、UTF-8など別の文字セットに変換するときに「?」になってしまうので注意。

mysql> show variables like 'char%';
+--------------------------+----------------------------+
| Variable_name            | Value                      |
+--------------------------+----------------------------+
| character_set_client     | ujis                       |
| character_set_connection | ujis                       |
| character_set_database   | ujis                       |
| character_set_results    | ujis                       |
| character_set_server     | ujis                       |
| character_set_system     | utf8                       |
| character_sets_dir       | /usr/share/mysql/charsets/ |
+--------------------------+----------------------------+

DBをWebからGUI操作するためのphpMyAdminはMySQLのバージョンを見ていて、4.1以上の時にはclientの文字セットをUTF-8に固定するようにしている。それでは先の丸付き数字などの問題があるので、「MySQL 4.1.xな環境でphpMyAdminをEUC-JPで使う方法」にあるとおりバージョン判定をやめてしまう。

Tags: PC

2006-09-28

Link 順位表を作成する

Excelでの順位表作成

この画像は、ある宇宙船の船員を対象に行なったテストの結果だ。緑色見出しのデータを元に、黄色見出しのような順位表を作りたい。順位表は、上位順に並べるが、同一順位の場合には番号が若いものを優先させる。たとえば2位はピカード艦長とラフォージ少佐になっているが、このようなときには必ずピカードを上にする。どのように関数を組み合わせたらよいだろうか。

SMALL関数とVLOOKUP関数とを組み合わせて使うのだろうと考えた人は、大筋として正しい。ただしこのとき同一順位の存在が問題になる。画像で言えば、H3とH4とを区別する必要がある。

作業セルは使わずに済めばそれに越したことはないと思っているので、作業セルを使わない解法を以下に記す。それは、E列でRANK関数を使う際に予め次のような細工をしておくことだ。たとえばE2の場合、

=RANK(D2,D$2:D$6)+0.01*A2

のようにする。後半の「+0.01*A2」がキモで、要は順位と番号とを小数点によって結合させているわけだ。そしてG列やH列では、整数部分・小数部分を取り出す。ここではH2の数式を見てみよう。小数部分を取り出すのは、整数部分よりも難しい。

=ROUND(100*(SMALL(E$2:E$6,ROW()-1)-G2),0)

ROUND関数を使っていることに注意しよう。これは演算誤差対策だ。単純に「その数−整数部分」×100としては失敗する。もっとよい方法があれば教えてほしい。

Tags: Excel


プロフィール

渡辺 慎太郎(na@10days.org)

分野別表示

Admin | Client | Dev | Excel | Linux | PC | PDA | Web | iPad | web | 家電 | 文具 | | 英語 | 言語 | | 音楽

月別表示

1999|07|
2003|05|06|07|08|09|10|11|12|
2004|01|02|03|04|05|06|07|09|10|11|12|
2005|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2006|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2008|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2009|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2010|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2011|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|

最近の記事

雨量情報 dictionary.com Yahoo google Yahoo! 路線情報 東京アメッシュ l-mura l-aka l-momo 目次 r-mura r-aka r-daidai r-kiiro asahi.com nogulabo r-sora r-midori r-midori r-momo