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十日日記


2007-04-02

Link 「特殊から一般」か「原則から例外」か

指導順序の原則として、「特殊から一般」ということがよく言われる。具体例を挙げたのちに話を一般化せよ、ということだ。多変数を考えるときにも先に2変数で説明しておくと話がスムーズになったりする。しかしそれと同時に「原則から例外」へということも言われる。たとえば英語の過去形を習うとき、先に規則動詞によってed付加による過去の作りかたを学んでから不規則動詞へと進んだほうが生産的だし、実際そうなっている。

ここで問題となるのは、(a)特殊から一般、(b)原則から例外という順序は対立しているように見える点だ。ある事柄を教えるとき、(a)(b)のどちらの方針を採るべきだろうか。

算数や数学の計算においては(b)が適していることが多い。これは水道方式の重大な成果のひとつだが、水道方式は主に小学校算数の指導法として認知されているため、それを中学・高校の代数計算(「微積分」も概念を把握したあとは代数計算と変わらない。特に積分はそうだ)へと結びつけることは広くは知られていないようだ。

たとえば分数多項式の和を考えてみよう。(1)\color{red}\frac{2x-3y}{2} - \frac{x - 2y}{3}というような計算である。このときに「水源」となるのは、いま挙げたような、(a)どちらの項も何倍かして通分する必要があり、(b)分子を計算した結果いずれの文字も残るようなパターンである。これに習熟したのち、(2)\color{red}\frac{2x-3y}{2} - \frac{x - 2y}{4}のように一方だけの通分や(3)\color{red}2x-3y - \frac{x - 2y}{4}のような片方が非分数の形になるパターンに取り組むとよい。たしかに(2)や(3)のほうが計算量は少ないのだが、計算のコツを飲み込むには(1)が向いている。

ところが、教材によってはマズイ順序で並べているものがある。育伸社のシリウスなど例題で(1)のような問題を見せているにもかかわらず、練習問題の最初の数題は(3)のようになっている。これでは生徒を戸惑わせるだけだ。因数分解でも\color{red}(x+a)^2のあとに\color{red}(x+a)(x+b)を持ってきていて、ちょっと理解に苦しむ。このシリーズは英語の出来が見事なのにくらべて数学がイマイチなのだが、会社の伝統なのだろうか。

数学の問題集で、しかも計算の単元ともなれば、どれも同じような構成だろうと思う人があるかもしれない。しかし現実には、一見すると工夫しようのないような単元にも教材作成業者の腕の見せどころはあるものだ。

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