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十日日記


2007-07-03

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ふと思い出したが、一橋大学は語学教育に関してはサッパリだった。私が入学した当時は教養部を廃止したてのころで、四年一貫専門教育を打ち出していた執行部としては、本音では第二外国語も合わせて廃止したかったろうと思う。英語教員も学部ごとにバラバラに配置されているわけで、英語教育にも統一方針など見えなかった。

笑えたのは、基本単語集だったか必修単語集だったか、とにかく大学謹製の単語帳だった。驚くなかれ、この単語帳には英単語「だけ」が8000語ほどアルファベット順に並んでいるのだ! 和訳も例文もない。しかもそれは指定教科書で、年度末に統一テストがあるため、新入生全員が買わなくてはならなかった。ひどい話だ。その後、妹が東大教養部に進学した際に英語教材を見せてもらったが、そちらはずっとマトモだったのを憶えている。

さて、教員の推薦参考書や辞典類には、自らの学習体験が反映されやすい。特にそれが画期的なものである場合、そうなりがちである。

たとえば英英辞典で言えば、1980年代のLDCE革命を味わった人はLDCEを薦めるし、90年代のCOBUILD革命を経験した人は同じくCOBUILDを薦める。しかしその後もCALD(ケンブリッジ)やMEDAL(マクミラン)といった英英辞典が登場しつづけているわけで、それらを一顧だにしないのは問題だ。

英和辞典では、『ジーニアス英和辞典』が90年代の教員に与えた影響は大きかった。とはいえ、最新版である第4版の改訂内容が「学習」英和辞典として適切なものだったのかどうかは異論のあるところで、『ウィズダム』のような強力な対抗馬も教員なら視野に入れておくべきだろう。このあたりは、z is for zokkonを熟読するとよいかもしれない。

私は教員ではないので何とも言えないが、電子辞書が台頭した現代、「引く辞典」「読む辞典」を分けて考えてもいいのではないかと思う。「引く辞典」は電子辞書に任せておけばいい。私は『ジーニアス大英和』『リーダーズ+プラス』の二本立てで満足している。読む辞典のほうは、このまえ買ったLWD(ワードワイズ)は簡潔に過ぎるため、もう少し詳しい辞典を買うことにした。最初が12,000語だったので、次は3万語前後のものを狙う。

ケンブリッジ英英和辞典 買ったのは『ケンブリッジ英英和辞典』(小学館、2004年)。結論。すごくいい。元になったCLD(2nd ed.)は35,000語収録で、例文に定評がある。CLDは今年2月に第3版が出ているが、「英英和辞典」の効果を体験してみたかったので、あえて第2版の上記書籍にした。

英英和辞典といえば『ワードパワー英英和辞典』(増進会出版社、2002年)が先行品だが、それとは性格を異にする。『ワードパワー』(1952ページ)が語義や例文まで翻訳しているのに対し、『ケンブリッジ』(927ページ)は日本語訳を追加しているだけだ。その差はページ数を見れば歴然としている。

英英和は邪道のように思う向きもあるかもしれないが、特に名詞では訳語の存在は時間の節約になりうる。「anvil (bone)」(きぬた骨)など、最初から日本語で書いてあるほうが早いだろう。かといって語義まで訳してもらう必要を感じないので、私は『ワードパワー』よりも『ケンブリッジ』を取る。

CLD自体もいい辞典で、ちょっと目新しいのは[GuideWord]という独自機能である。これは単語の各語義の「雰囲気」っぽいものを一言で表現したものだ。たとえば「black」の項には、それぞれの語義が記してある各段落の最初に、[COLOR]とか[PERSON]とか[DRINK]とか[HUMOUR]とか[SITUATION]などと書いてある。「色」としてのblackとか「状況」がblackとか、どの意味で使われているのか探しやすくした意図があるのだろう。

この[GuideWord]の記法がルールより裁量で行なわれている点が私は痛く気に入った。たとえば「bag」の項にある[CONTAINER]は外延を指している(つまりdogに対してanimalと言っているようなもの)ので平凡だが、その次の[FOR WOMAN]にはしびれた。女性向けbagということで、ハンドバッグを省略してbagと呼ぶことがあるらしい。まったく規則的ではないけれども、女性の描写とともに出現したときにはハンドバッグかもしれないというヒントを与えてくれているわけで、まことに実用的ではないか。

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