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十日日記


2007-07-15

Link 組合わせの話

このところ英語の話題ばかり書いてきたので、たまには数学のことも書く。

段ボール箱を整理しているとき、山本矩一郎『実戦的確率論』(代々木ライブラリー、1989年)を見つけた。ひさしぶりに手にとって一通り読んでみて矩一郎節を味わったわけだが、いま改めて読んで膝を打つ点が何点かあった。

その前に記しておくと、中学や高校で確率・統計のマネ事を学習することに対して私自身は反対である。より適切には、もっと優先順位の高い分野が別に存在するだろうと思う。中学校では初等代数を完成させることに力を注ぐべきであって、順列・組み合わせに時間を費やすくらいなら二次方程式の解の公式を中学校で教えられるはずだ。同様に、高校1年で確率を習わなければ因数定理を高校2年に持っていかなくて済むくらいの時間が確保できるだろう。

感心した第一の点は、順列・組合わせを確率の基礎に置いていない点である。どんな教科書でも順列や組合わせが先に出てくるのだが、少なくない学習者がそこで足を絡めとられて脱落してしまう。実際には、順列・組合わせは代数やグラフ理論などの初等的分野であって、確率のことはわからないが統計学にとっては周辺の極一部でしかない。本書はこの点を明言し、実際に確率の問題から導入している。

第二の点は、数え上げに出てくる記号(P、C、H)の中で「C」のみを使っている点である。(もちろん階乗記号は出てくる。)これも妥当なところだ。Cはたしかに必要で、これがないと2項定理の記述にも苦労する。しかしそれ以外は末成りで、必須ではない。先に述べたとおり同分野に費やす時間は少ないほうがよいと思うので、Cだけに限定するのは悪くない。

ちなみにHは重複組合わせの記号で、どんなものなのかは中村文則「重複組み合わせの指導法について」を参照。公式では\color{red} {}_n\mathrm{H}_r = {}_{n+r-1}\mathrm{C}{}_r となっていて、憶えるのがしんどい。しかしHがPascal分布の係数であるという知識を応用して、具体的な計算運用では次のようにすると簡単だ。たとえば9個から重複を許して3個選ぶ組合わせは

\color{red} {}_9\mathrm{H}_3 = \frac{9 \times 10 \times 11}{3 \times 2 \times 1} = 165

こんなふうに分子を競り上げてゆくように計算する。何なら分母も繰り上げていく形にして統一感を醸し出してもよい。

本当は復元抽出か非復元抽出かを見分けることが重要という話を書こうと思って筆を執ったのだが、ぜんぜん話が辿り着かなかった。

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