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十日日記


2010-10-07

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タグチメソッド入門 立林和夫『タグチメソッド入門』(日経文庫、2009年)を手に取った経緯は、次のようなものだった。今世紀に入って一般人が扱えるデータ量が増大するにつれ、大規模なデータ解析が耳目を集めるようになった。その一方で、データの集め方については関心が薄いのではないかと個人的に感じ、R.A.フィッシャーの実験計画法に興味を抱く。我が国における実験計画法の大家が田口玄一氏で、品質管理の部門にその名を冠した手法があると知る。

タグチメソッドは米国での呼び方で、我が国では品質工学と呼ぶ。QC7つの道具と同様、品質工学も米国に紹介されブームを引き起こした。品質管理が主として生産段階での話題なのに対し、品質工学は設計・開発段階での手法である。

品質工学のキモになるのは、いかに頑健(ロバスト)な設計を行なうか、という点である。多数のパラメータを混ぜ合わせて品質の分散を最小化させ、そのうえで目標値に近づけるような設計(二段階設計)を行なう。たとえ問題の事象が「騒音」であっても、その背後にあるのは品質のバラツキによるエネルギー効率の低下があると考えて対処するのがタグチメソッドだ。

田口先生は統計学者だが、分布論をほとんど使わないのが印象的だった。利用されている道具立ては、直交表などの実験計画法、2次関数の損失関数、マハラノビス距離である。最後については初耳だった。これは共分散を考慮に入れた距離だ。

第一種の誤り、第二種の誤りをそれぞれ「あわて者の誤り」「ぼんやり者の誤り」と呼ぶのは聞いたことがあったが、過誤の確率α、βと引っかけた洒落だったことには気がつかなかった。また、第5章に掲載されていた、抜き取り検査が実際には品質面・費用面ともに芳しくない成果しか出ないという話も勉強になった。

この本をソフトウェア開発に応用できることはあるだろうか。直交表はテストに使えるみたいだし、実際にその方面の書籍も出ている。損失関数によってバラツキをコストに還元するのは、プロジェクト管理のEVMに通じるものがあると思った。QC7つの道具はPMBOKに収録されているが、タグチメソッドが載る日は来るだろうか。

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