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十日日記


2011-05-25

Link 「任せる」の諸相

過剰管理の処方箋 金井壽宏、岸良裕司『過剰管理の処方箋』(かんき出版、2009年)を読む。以前に金井先生の共著を読んだところだったので、他に書籍はないか探して見つけたものだ。

岸良さんが話している内容は、あとで読んだ『三方良しの公共事業改革』(中経出版、2007年)と重複しており、またそちらのほうが内容が濃いと思われる。金井先生の話の中では興味を引いた話題が2点あったので、以下に取り上げたい。

ひとつは、「任せる」という行為を類型化した話(p.100)。この単語は曲者で、金井先生は目的(何のために任せるのか)と内容(上長が知っていることか)とによって6通りに分類できるという。その表を次に引用しよう。自分が任せる側や任される側に立つとき、どのセルに含まれることが多いだろうかと考える。

「任せる」の類型

意外な事実も発見されている。何かを任せたことで、かえって部下は上司の顔色を覗うようになってしまったという話だ。金井先生が100人の新入社員を対象に調査したところによると、「新人に仕事を任せると、その新人は上司や先輩、職場は異なるが目をかけてくれるメンターに目を向けてしまい、外部者との接触機会をないがしろにする傾向がある」(p.105)という。特に、セル1・3・5で発生しやすいというから注意が必要だ。

もうひとつは、ガルブレイスの組織設計モデル(p.113)である。組織の不確実性(多変数関数f(産出多様性, 投入数量, 目標水準)である)が大きくなると、例外的な事例が増える。例外が増えるたびに上司に伺っていたのでは組織がパンクするので、やがて組織は権限を委譲する必要に迫られる。そこで組織は現場に任せる一方で、目標を設定して管理するようになる。ところが目標設定にすら例外が発生するようになると、再び階層型組織に崩壊の危機が訪れる。

ガルブレイスは情報負荷による組織崩壊を防ぐ案として、次の4点を述べている。最初の2つは情報処理の必要性を減じさせるもので、(1)余裕(スラック)資源の創出、(2)自己充足的課題の創出が挙げられる。残りの2つは情報処理能力を増大させる案で、(3)システムへの投資、(4)水平的関係の創出、とある。キモは(4)にあるのだろう。

余談だが、性善説でも性悪説でもなく性弱説(人間は弱い生き物)だと述べられていた箇所があって、妙に納得した。

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