2011-09-27
Link CIO小説
オースティン、ノーラン、オドンネル『ビジネスリーダーにITがマネジメントできるか』(日経BP社、2010年)を読んだ。本書は小説仕立てになっていて、架空の金融業においてローン部門のマネージャーだった主人公が突然CIOに任命されてからの1年間を追ったものだ。小説による解説というと『ザ・ゴール』を思い浮かべるが、本書には正解がない。
本書のp.554以下に、「ITマネジメントシステムを構築する7つのカテゴリー」という付録があるので、以下に掲げる。①コミュニケーションシステム(全てのITマネジメントシステムの中で最も重要である)、②人材マネジメントシステム(もう1つの最重要なITマネジメントシステムと言われている)、③コストと価値に関するITアカウンティングシステム、④プロジェクトマネジメント/インプリメンテーションシステム、⑤ベンダーマネジメントシステム、⑥インフラストラクチャーマネジメントシステム、⑦成長技術の探索と分析。
原著も2009年刊行と比較的新しいため、ITマネージャーが押さえておくべきアイデアは新しいものまで収録されている。たとえばIT投資については、ROIやNVPといった古典的な採算性分析だけでなく、「品質を高めるための投資」「競争のための投資」の区別(p.159)や戦略アラインメント論なども出てくる。インタンジブル・アセットで知られるブリニョルフソンの論文も紹介されている。プロジェクトマネジメントでは、PMBOK流の古典的なPM手法のほか、APM(アジャイル・プロジェクトマネジメント)も取り上げられている。著者らはAPMに好意的なようだ。
PMをめぐる本書内での論争を読んでいるときに想起したことがある。これについては項を改めて記す。