2011-11-03
Link システム改革の正攻法
大和田尚孝『システム改革の正攻法』(日経BP社、2010年)は、東京証券取引所の株式売買システムarrowhead開発プロジェクトを扱った書籍だ。arrowheadは、2005年の大規模システム障害を受けて東証が富士通と作り上げ2010年に稼働を開始した売買システムで、旧システムの1000倍(2ms秒での応答)もの処理性能を達成している。ちなみにOSはRHELで、DBはOracle 10gをオンメモリで使用している。
東証の株式売買システムはNFR(非機能要件)周りが私が目にするプロジェクトとは違いすぎるのだけれど、それでも開発体制から学ぶべき点はある。NTTデータから招かれた鈴木CIOは古典的なウォーターフォール型を基本にして不具合・手戻りを減少させる試みを採用しているので、比較的導入しやすいように思う。
一例を挙げると、ウォーターフォール型の開発プロセスで使用される「V字モデル」に対して、「W字モデル」「フィードバック型V字モデル」が取り入れられている。W字モデルでは、テスト項目の作成を設計作業と並行して行なう。これによって設計書の品質向上を図る。一般化して言えば、施策に対する評価基準は実施前に定めておくべきということで、もっともなことだ。
もうひとつのフィードバック型V字モデルとは、前工程の内容が正しいものだという前提のV字モデルとは異なり、後工程の段階でも前工程の不備を積極的に発見する試み。鉄は熱いうちに打てということで、小さな手戻りは発生しても数ステップ前までの手戻りは出さないようにしようという考え方だ。これらを合わせた姿については、「W字型開発モデルとフィードバックV字型開発モデル&混在型を図示する」を参照。
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